2020/05/19 02:52

社会性と感情の学習【Social Enoyional Learning】SELが注目されています。


先生方が学校の道徳の授業に取り組まれる上でも、社会性を育てる教育、感情教育などを取り入れられていると思います。
一口にSELといっても、感情教育そのものを受けてこなかった世代には理解が難しく「どう指導したら良いのか迷う」「教師にも、子どもたちにもわかりやすいツールはないものか」という声をよくお聞きします。

社会性や感情の教育をするときに、最もシンプルな課題は「共感力を育てること」です。

思い込みや、「普通はこうでしょ」といった一般論、「多分こうだろう」という憶測やジャッジメントでコミュニケーションしようとしてもけしてうまくはいきません。
むしろ、萎縮してしまったり、我慢してしまったり、本音とは違うけれど合わせてしまったりして、かえって社会性や感情の在り方を悪化させる結果になっていることが多いのかもしれません。

「共感」の始まりは感情に触れることから。

相手がどんなことを考え、何を大事にしているのか。
憶測ではなく、相手の話すことをありのまま受け止め、受容し理解することが「共感」ですが、これを実践するのに「感情」を抜きにはできません。
相手の本心に触れたとき、怒る、恨む、妬むなどのネガティブな感情が出てきたら、そのままぶつけてはいけないよ、と、学校では教えると思います。
私も確かにそのように教えられてきましたし、実践してきました。
しかし、押しこめた感情はどうなるのか。
押しこめて苦しい思いをしているのに、相手を思いやることはできません。
感情に触れることがタブーの現代の教育では、共感力は育ちません。



自分の感情すら「わからない」子どもたち。

私たち大人も、先生方も、自分の感情としっかりと向き合う機会は大変少ないのではないでしょうか?
特にネガティブ感情はできれば「なかったこと」にしたいという思いが、いつもどこかにあります。
そしていずれごまかし切れなくなり、ストレスが蓄積し、心のバランスを崩すことが多いのではないかと思います。

私たちは実はとても豊かな感情を持っているのに、それを表現する方法を知りません。
「感情はできるだけ出さないように」が、社会でも学校でも、場合によっては家庭でも、暗黙の了解になっているのです。

そんな背景がありながら、道徳教育でSEL・・・
それはとても難しい話です。



NVC(Nonviolent Communication=非暴力コミュニケーション)

NVCは、1970年代に、アメリカの臨床心理学者マーシャル・B・ローゼンバーグ博士によって体系化され、提唱された、自分の内と外に平和をつくるプロセスです。

「家族や友人から、職場、組織、国際関係まであらゆる人間関係を、支配、対立、緊張、依存の関係から、自由で思いやりにあふれた、お互いを豊かにし合う関係へと変えることを可能にする考え方、話し方という「方法」であると同時に、私たちに「なんのために、どう生きるか」を問う、根源的な「意識」でもあります。
それは、頭(思考)で判断・批判・分析・取引などをするかわりに、自分自身と相手の心(ハート)の声に耳を傾けることから始まります。」(NVC Japan WEBサイトより)

まさにこれからの道徳の授業に取り入れたい内容です。
もちろんNVCを学ぶことはSELがテーマの教育を考えていく上でとても有意義なことです。
興味がおありでしたら、日本中にたくさんのコミュニティがありますので、ぜひご参加ください。


もっと手軽にSELを教えられるツールはないの?

ただでさえ忙しい毎日に、あらためて長期の学びに向き合う余裕がない、というのが先生たちの本音ともお聞きします。
何人かの現役の先生方、元先生をしていた方、元幼稚園教諭、保育士、たくさんの方の声をお聞きする中で生まれたのが「共感コミュニケーションボード」です。



日常の出来事を題材に、感情とニーズに触れるためのツールです。
クラスでのもめごとや、お友達同士の行き違いが起こったとき、ボードを使って本人同士で解決することができます。

つながりたい相手、関係性を取り戻したい相手との課題やテーマを書き込み、自分の感情とニーズを選んでいきます。
代表的な感情を表す言葉が54のチップに書かれています。
普段感情を言葉にしないと、気持ちを表すのにどんな言葉を使ったら良いのかわからないことが多いと思いますが、選んでボードに貼るだけなら簡単です。

その感情が出てきたのは、自分が大事にしたいと思っていたことが満たされなかったから。
その「大事なこと」はニーズのチップに書かれています。
感情と同じく54枚のチップの中から、「大事なこと」と見つけ出してボードに貼り付けていきます。

「〇〇のとき(日常であったできごと)私が悲しかったのは、大事にしてもらいたかったから」
自分の内面を見つめて言葉にできることが「自己共感ができた(自分自身の心の声を聞いてあげられた)」ということです。

自己共感できること=感情のマネジメント

ともすれば、相手への不満や感情を押し殺したまま終わってしまうコミュニケーション。
「満たされなかったニーズを満たすために何をすれば良いか」を本人がわかることは画期的です。

相手にも共感することで、関係性がグッと改善する!

まずは自分の感情とニーズを、自分自身がきちんと「聴いてあげる」ことが最初のステップですが、自分に共感できたら、今度はトラブルがある相手、コミュニケーションがうまくいかない相手の感情とニーズを推測してみることもできます。
あくまでも推測ですから、相手の本当の気持ちではないのですが、相手のことを知ろうとする、相手に共感しようとする、この経験が重要なのです。
本当につながりたい大切な人なら、相手の立場にも立ってみる・・・SELの大事なところです。
ボードを使えば難しいことはありません。

相手の感情に触れニーズを推測し、自分の感情を知り、ニーズもわかる。
そしてお互いのニーズを目の前にしながら、両方を満たす方法を考えます。
二人のニーズを満たすために自分ができることを、自分自身にリクエストし、相手にも二人のニーズを満たすためのリクエストをします。
これで、お互いに大切にしたいことが満たされる間柄になります。
口頭だけでは理解しにくいこの共感のプロセスを、目で見てわかるようにしたのが、共感コミュニケーションボードなのです。


学校でこそ使ってほしい!

ぜひ教室に1~2台のコミュニケーションボードをご用意ください!
先生が使い方を指導していただければ、子どもたちは意外と面白がって使ってくれます。
トラブルがあっても、自主的に解決できるツールがあれば、学級運営がスムーズになります。
3台セットでご購入いただくと、1台当たりのお値段が割引になります。
また使い方をレクチャーするウェビナーも開催しています。

先生向け・学校向けウェビナーもリクエスト開催いたします!

学級運営や道徳の時間にどのような形で使えば良いか、ケースワークや実践を交えながらのオンラインワークショップを開催できます。
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